子犬系男子は待てを知らない
「藍原さん、関口さん、今日は俺の席でお弁当食べよー!」
「……うん!」
振り向いたあたしと目が合うと、声の主であるその男の子はにこにこと笑いながら、こっちに大きく手を振った。
少しふわっとしたさらさらの黒髪。
大きすぎず小さすぎずバランスのとれたきれいな鼻。
パッチリとした二重に、時として子犬を思わせる丸い瞳。
そんな彼── 雪平 諒くんは、あたしと同じ1年C組の生徒だ。
とっても爽やかで温和な顔付きをしていながら、バリバリの剣道部で、身長は170cmを優に超えているみたい。
そして──。