子犬系男子は待てを知らない


「藍原さん、関口さん、今日は俺の席でお弁当食べよー!」

「……うん!」


振り向いたあたしと目が合うと、声の主であるその男の子はにこにこと笑いながら、こっちに大きく手を振った。


少しふわっとしたさらさらの黒髪。

大きすぎず小さすぎずバランスのとれたきれいな鼻。

パッチリとした二重に、時として子犬を思わせる丸い瞳。


そんな彼── 雪平(ゆきひら) (りょう)くんは、あたしと同じ1年C組の生徒だ。

とっても爽やかで温和な顔付きをしていながら、バリバリの剣道部で、身長は170cmを優に超えているみたい。


そして──。


< 3 / 352 >

この作品をシェア

pagetop