子犬系男子は待てを知らない
「ちょっ、ちょっと雪平くん!」
「諒」
「へ?」
「諒って呼んでくれないんだ」
ええっ!?
頬に落とされたキスに混乱するあたしに、さらなる爆弾が投下された。
……うぅっ、そんなこと言われても。
なんか、なんていうか……。
「ねぇ」
呼ぶのを渋っていると、グイッといきなり覗き込まれ、思わず大きく息を呑んだ。
真っ直ぐ見つめてくる瞳に、逃げ場なんてないことを知らされる。
……だ、大丈夫。
言える。あたしなら大丈夫。
何度も息を吸って、吐いて。
覚悟を決めたあたしはそっと、唇を動かした。
「りょ、諒……くん」