子犬系男子は待てを知らない
「ちゃんと仲直りしてから言おうと思ってたんだけど……って、りっ、璃子ちゃん?」
「……あ、れ……?」
雪平くんの焦ったような声によって気づかされた。
いつの間にか、あたしの頬には温かいものが伝っていたんだ。
おかしいな。
泣くつもりなんてなかったのに。
我慢しようと試みても、
全然止まんない。
「うっ……うぅ……知って、たんだ」
糸が切れたみたいに、大量の涙が溢れ出す。
「大切な人の誕生日だもん。忘れるわけないよ」
気づいてる?
あなたはいつだって、今あたしが一番欲しい言葉をくれるよね。
「……う、れしっ」
「ごめん。ずっと一人で我慢してたんだよね。俺のせいで」
「っ、ううん……」