子犬系男子は待てを知らない


チラリ、「よかったぁ」なんて微笑む左隣を見上げてみる。


……雪平くんは、どういうつもりなんだろう。


思ってたよりもいつもと変わらない彼に、なんというか……拍子抜けっていうの?

あんな宣言してきたんだもん。もっとこう、色々言われたりされたりするものだと思ってたものだから……。


や、決して期待してるとかそんなんじゃないのよ?!


そもそもあたしには恋愛する気なんてないんだし。

逆にそっちの方が助かるというか。


……うん。そうよね。

あたしだって、普段通りにすればいいのよ──。



「……璃子ちゃん聞いてる?」

「はいっ! 聞いてませんっ!」


しーん。

一瞬静まり返ったあと、素っ頓狂な声を出したあたしに、雪平くんは吹き出すように「あはは」と笑った。

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