子犬系男子は待てを知らない
「おはよ、璃子ちゃん、関口さん」
「おす」
「おはよ、ゆき──」
あっ、と思い出して口を噤む。
「おはよ、山岡くん、諒くん……」
誕生日を迎えたあの日、彼と約束したんだ。
でも数日経った今でも、やっぱりまだ慣れないでいる。
「ゆっくりでいいって言ったのに」
「……でも、呼びたいから」
あたしが俯き加減に言うと、雪平くん……諒くんは、優しく笑ってくれた。
「へぇ〜」
と、その時嫌な声がして振り向く。
「ラブラブじゃない」
案の定ニタニタと悪趣味な顔をする愛花がいて。
あたしが真っ赤になったのは、言うまでもない。
……とまあ、名前呼びはまだまだ完璧とはいかないけど。
そういえばもう一つ、あたしには気になってることがあって……。