子犬系男子は待てを知らない
疎外感にむくれていると、隣で愛花が何かを呟いた。
「罪なヤツ」
「ん、なに?」
「なんでもー? それよりあんた、アレ気づいてる?」
「アレ……? げっ、忘れてた〜」
愛花の指さした方に見えたのは、黒板の隅に書かれた〝藍原〟の文字。
あたしはガーンと頭を抱えた。
あと10分くらいでHR始まっちゃうじゃん!
「急いで職員室行ってこなきゃ……」
「俺も行く」
「え?」
パシッとあたしの手を取ったその人は、返事を聞く前にあたしを引っ張っていった。