子犬系男子は待てを知らない


もう、璃子ちゃんてば可愛すぎだろ。

めちゃくちゃ顔赤くなってるし。


こんな姿が見られるのも、かなり貴重かもしれない。


……それに。

どうやって俺のことを守ってくれるのか、今からとっても楽しみだ。



「じゃあね、母さん。また明後日に。身体にはくれぐれも気をつけてね」

「はいはい。あなたも気をつけなさいよ?」

「えっと、少し早いですが、ご退院おめでとうございます」

「ありがとう。今日はお会いできて嬉しかったわ」


ぺこりと頭を下げた璃子ちゃんに、母さんが優しく笑いかけた。

そうして、部屋から出ようとした時。


「あ、璃子ちゃんちょっと待って」


なにか思い出したかのような声に呼び止められ、振り向いた。


「これ、今日来てくれたお礼に。よかったらどうぞ」


近づいて行った璃子ちゃんの手を取った母さんが、その上になにかを乗せた。

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