子犬系男子は待てを知らない


そんなに顔似てるかなあ?

たしかに、どちらかと言うと母さん似だって言われることの方が多いけど。

うーんとその意味を考えていると、俺の前に握った手が差し出された。


「ほら、これ」


パッと開かれたその中に入っていた物。

その正体に、俺は思わず目を丸くした。


「いちごみるく、キャンディ……」

「ふふっ。諒くんもお礼だって言ってくれたことあったよね」


うっ……母さんめ。

恥ずかしいじゃんか……。

堪らず赤くなっているであろう顔を隠すように視線を逸らす。

すると、


「なんか、嬉しいんだよね」


と璃子ちゃんが続けた。


「あたし、苺が好きでしょ? だから、共通点見つけたみたいで」


そんな言葉に振り向くと、無邪気に笑う横顔が目に映った。

< 333 / 352 >

この作品をシェア

pagetop