子犬系男子は待てを知らない
……なんか妙に緊張しちゃったな。
一人になって、やっとその時肩の力が抜けるのを感じた。
あの雪平くんにバレるほど動揺しちゃうなんて。
だけどこればっかりは仕方ないよね。
いきなり好きになるとか言われたら、そりゃ普通にできないって。
「はぁ……」
早く慣れなきゃなんだけどなぁ。
「え──」
階段を数段登ったところでふと立ち止まり、後ろを振り返った、んだけど……。
「へへっ」
そこには、まるで悪戯がバレた子犬みたいな顔をした雪平くんが立っていて。
「どうしたの?」
さっき向こうへ行ったはずじゃ。
「や、見送りたくってさ」
階段の下から少し張って言った彼の言葉に、あたしは不覚にもきゅんとしてしまった。