子犬系男子は待てを知らない
……もう。
なんでそんな可愛いことするかなぁ。
自然と頬が緩んでしまうのが自分でもわかった。
胸がそわそわとして落ち着かなくって、堪らずきゅっと手を握りしめる。
「雪平く──」
「やべっ、早く! 急げ急げ」
「わーってるって!」
……なに?
突然、頭上から聞こえてきた騒がしい声に意識を持っていかれた、次の瞬間だった。
──ドンッ。
「へっ……?」
まっ、
うそ。
ぶつかった?
っていうか今あたし────。