子犬系男子は待てを知らない


「うっ……」


身体に走った衝撃に、思わず声を洩らした。


いった……あ?


階段から。

それも、6〜7段ほど上がったところから落ちたはずなのに。

あれ?

……そんなに痛く、ない?


それになんだろう。

なんか甘くていい匂いが──。



「……っ、璃子ちゃん大丈夫?」

「ゆ、雪平くん?!」


驚いて声をあげた。

混乱の中耳元に降ってきた声は、明らかに彼のもので。

そういえば、さっきから全身が何かに包み込まれているような感覚がしてる。


……そっか。

雪平くんが受け止めて……。


「うん、ありがとう。大丈夫」

「無事でよかった」


顔を上げながら答えると、ほっとしたような顔をした雪平くんと目が合い、一瞬ドキッとした。


いや、それより!


< 38 / 352 >

この作品をシェア

pagetop