子犬系男子は待てを知らない
「では、ほんとすんません!」
「あっ……」
その人は深く腰を折ってそう言うと、訂正する暇も与えず友達らしき男の子と共に去っていった。
呆然と消えゆく後ろ姿を見送るあたし。
すると、雪平くんが覗き込むように視界に現れて。
「勝手に彼女にしちゃってごめんね。でも、説明するの面倒だったから」
「えっ。ううん、別に──」
「ドキッとした?」
「っ!」
もう〜〜〜!
このままじゃ雪平くんのペースに呑まれておかしくなりそうだ。
「えっと、か、帰ろっか!」
「うん」
まともに顔を見れないまま、あたしは再び雪平くんとさよならをした。