子犬系男子は待てを知らない
「わかった?」
「……は、はい」
ドキドキと心臓の音が大きく鳴り響く中。
かかる吐息に耐えられず反射のように小さく返事すると、あっさりと開放された。
咄嗟に振り返って目にした雪平くんはにっこり笑ってて、もう何が何だかだ。
「ごめん、啓吾」
「いや。それより諒。勉強会の場所まだ決まってないって言ってただろ」
まだ混乱状態から抜けられないあたしを差し置いて、なにやら山岡くんが切り出したらしい。
「え? ああ、うん。そうなんだよなー。まだいい場所が見つかんなくて……」
「それ。俺ん家でもいーけど」
「「いいの?!」」
聞こえてきた声に、あたしはさっきまでパニックに陥っていたことなんて忘れて目を輝かせた。
「ああ。ちょうど部屋余ってるし」