子犬系男子は待てを知らない


言い返そうと振り向いたその時、愛花のカバンに紐で括り付けられた〝目覚まし時計〟を発見するなり、あたしは指をさして「なにそれ!?」と声をあげた。


「聞いて。それが今日、おとめ座12位だったのよ」

「……はぁ」

「んで、ラッキーアイテムがこれだったってわけ」


……まぁ、言いたいことはわかるけど。


「意外と可愛いでしょ?」

「……そお?」


たまに愛花がわからない。

あたしにはどう見たって、浮いてるようにしか見えないんですが。


「そこまでして占いなんか信じなくていいんじゃない?」

「バカねぇ、案外当たるのよ? あ。ちなみに〝かに座〟、今日の1位だった」

「うそ1位!? で、なんて? ラッキーアイテムは?」

「占いなんか信じないんじゃ?」


前のめりで食いついたあたしに、愛花がジト目で言った。

やなことは信じないけど、いい占いはやっぱり気になるじゃない?

< 58 / 352 >

この作品をシェア

pagetop