子犬系男子は待てを知らない
言い返そうと振り向いたその時、愛花のカバンに紐で括り付けられた〝目覚まし時計〟を発見するなり、あたしは指をさして「なにそれ!?」と声をあげた。
「聞いて。それが今日、おとめ座12位だったのよ」
「……はぁ」
「んで、ラッキーアイテムがこれだったってわけ」
……まぁ、言いたいことはわかるけど。
「意外と可愛いでしょ?」
「……そお?」
たまに愛花がわからない。
あたしにはどう見たって、浮いてるようにしか見えないんですが。
「そこまでして占いなんか信じなくていいんじゃない?」
「バカねぇ、案外当たるのよ? あ。ちなみに〝かに座〟、今日の1位だった」
「うそ1位!? で、なんて? ラッキーアイテムは?」
「占いなんか信じないんじゃ?」
前のめりで食いついたあたしに、愛花がジト目で言った。
やなことは信じないけど、いい占いはやっぱり気になるじゃない?