子犬系男子は待てを知らない


「かわいい?」


へっ?


「ごめん、心読んじゃった」

「ちょっ、愛花!」


耳元で囁かれてビクッとなる。

もしこの会話を聞かれてたら……。



「大丈夫。彼は寝癖に夢中だから」


……もう。


「雪平くん、ちょっといい?」


困ったように眉を垂らす彼をほっとけない。

あたしは鞄からヘアピンを取りだし、少し背伸びしてその部分を留めてあげた。

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