子犬系男子は待てを知らない


***



「どうぞ、あがってくれ」


チャイムを押すと出迎えてくれた山岡くんに促されるまま、あたしたちは奥の部屋に入った。



「うわっ、ひろ〜」


ここが例の『余ってるし』と言っていた部屋ね?


……にしてはずいぶん豪勢だけど。

ノートにペンを机に広げながらそんなことを考える。



「じゃあ始めよっか」


そしてみんな準備万端というところで、雪平くんの合図とともに勉強会がスタートした。


取り組む教科はそれぞれで、わからないところがあればその都度質問していこうということになった。

そんな中、数学を選んだあたしは──。


< 63 / 352 >

この作品をシェア

pagetop