子犬系男子は待てを知らない


***



辺りはすっかり薄暗くなっていた。


「じゃあ、またね山岡くん」

「ありがとう啓吾」


優しい眼差しに見送られ、あたしと雪平くんは帰り道を並んで歩く。


愛花が帰ったあと、少しだけ勉強して、それからは3人で談笑タイムだった。


好きなテレビに怖い先生の話。

剣道部のこととか、山岡くんのお父さんがパイロットだって話とか。

とにかく色んな話で盛り上がった。


楽しかったなー。

思い返すだけで口元が緩んでしまう。


……雪平くんが甘い物が苦手だってことを知った時は、ちょっと意外でびっくりしちゃったけど。



「さっきは勉強教えてくれてありがとね」


雪平くんのおかげで助かった。

距離感はさておき……教え方が上手いのか、すっごくわかりやすくって。

昨日までは全然自信がなかった数学も、なんだかいい点が取れそうな、そんな気がしてるんだもん。


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