子犬系男子は待てを知らない


「嫌だったら言って?」

「へ?」


瞳に映ったのは、不敵な笑みだった。


うそ。

どうしよう。


あたし、雪平くんと手……繋いでる?


「あ、あのっ」

「なに?」


……わーーっ。

顔見られない!


「なんで、手」


ただならぬ緊張感の中、あたしはそうやって顔を背けたまま声を絞り出す。

すると雪平くんは、「んー」と首を捻り。


「繋ぎたくなったんだけど……だめ?」

「……っ!」


不意に覗き込まれるなんて聞いてない。

汗ばむ身体に、定まらなくなる視点。


──なんて答える?


あたしは。

あたしは……。


「だ、だめじゃ──」

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