子犬系男子は待てを知らない


「……あれ、璃子?」


ン!?

どこか聞き覚えのある声に反応して、あたしは咄嗟に繋がれていた手を引っ込めた。

うそでしょ──。


そして声の主をはっきりと捉えた時、目の前がぐるぐると回りだした。


「やっぱそうだ。久しぶりだなあ!」

「は……遥斗(はると)!?」


ぅげーーーーーっ!

なんでコイツがこんなところにーー!?


「知り合い?」

「ま、まあ……」


何度間違いだったらと思ったことか。

こっそりと聞いてきた雪平くんに、あたしは苦笑いで答えた。


……どうしよう。

最っ高に気まずすぎる。

< 75 / 352 >

この作品をシェア

pagetop