子犬系男子は待てを知らない
「……あれ、璃子?」
ン!?
どこか聞き覚えのある声に反応して、あたしは咄嗟に繋がれていた手を引っ込めた。
うそでしょ──。
そして声の主をはっきりと捉えた時、目の前がぐるぐると回りだした。
「やっぱそうだ。久しぶりだなあ!」
「は……遥斗!?」
ぅげーーーーーっ!
なんでコイツがこんなところにーー!?
「知り合い?」
「ま、まあ……」
何度間違いだったらと思ったことか。
こっそりと聞いてきた雪平くんに、あたしは苦笑いで答えた。
……どうしよう。
最っ高に気まずすぎる。