子犬系男子は待てを知らない
「でもまあ、そっか。俺も言い方悪かったしな」
……やだ。
「実はさ、あのあと後悔してたんだ。あん時は子どもだったっつーか、付き合うとか初めてだったし……」
なにも聞きたくないのに。
「周りに色々言われんのが恥ずかしくて、ついあんなこと……」
ぽつぽつと落とされていく言葉たちを浴びながら、あたしは震える手をそっと胸元で押さえる。
「でもあんなガキん時のことなんか──」
「ごめん、急いでるから」
短くそれだけ言うと、思い切り手を振り払った。
「行こっ、雪平くん」
「うん……」