子犬系男子は待てを知らない


「……落ち着いた?」

「おかげさまで……ありがとう」


あれから何分くらい経ったんだろう。

すっかりと自分を取り戻したものの、今度は羞恥心というものに悩まされていた。


あんなに人前で思いっきり泣いちゃったのは初めてだし。

それにまさか、自分があんなふうに雪平くんに……。


「ん?」

「ううん」



あんまり考えないでおこう。


うん、とあたしは火照る頬に手を当て邪念を追い払った。

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