子犬系男子は待てを知らない
🍓きっとこれは恋じゃない
*
──キーンコーンカーンコーン。
チャイムが鳴った瞬間、張り詰めていた空気が嘘のように賑やかになる教室。
……終わった〜っ!
あたしは、一番後ろの席の佐波さんに一枚の用紙を渡してから机になだれ込んだ。
「俺天才かもしれん!」
「えー、リスニング激ムズだっただろ」
そんな、喜びに感嘆。
様々な思いが入り乱れる今日は──紛れもない、中間テスト最終日だ。
3日間に渡る壮絶な闘いだった。
だけど最後まで全力で闘い抜いたあたしの自信は、そこそこにある。
……これもきっと、この前の勉強会のおかげね。
結構前のことなのに、まだびっくりするほど鮮明に覚えてる。
もちろん、勉強会だけじゃなく……
その帰り道のことも。