子犬系男子は待てを知らない
『繋ぎたくなったんだけど……だめ?』
脳裏に焼き付く声が、ふと色濃く蘇った。
中間テストが終わるまでは、記憶の奥底へと追いやっていたそれが。
──もしあの時あの瞬間、誰とも出会ってなかったなら。
あのままずっと、雪平くんと手を繋いでたのかな……。
正直、嫌だと思わなかった自分にびっくりしてる。
もちろん、いきなりで驚きはしたけど。
……いつもそう。
雪平くんといたら、どこか調子が狂ってしまうんだ。
「璃子ちゃん!」
──ドキッ。
……ドキ?