子犬系男子は待てを知らない
「雪平くんっ、テストお疲れさま」
一瞬覚えた違和感のせいで、一拍ほど返事が遅れてしまった。
「お疲れさま。今日も、一緒に帰れる?」
あたしが切り替えるように言うや否や、そろりと尋ねてきた彼は、今日まで部活が休みらしい。
そういうわけで、ここ3日間ほどは、愛花と山岡くん、そして雪平くんと4人で帰りの時間を過ごしていた。
「うん、もちろん!」
「よかった。ねぇ、テストはどうだった?」
「それが、おかげさまで……」
はっ、とその時思い出してしまった。
『……落ち着いた?』
『おかげさまで……ありがとう』
勉強会の帰り道に起きた、もう一つの記憶。
「どうかした?」
「ううん!」