子犬系男子は待てを知らない


「いただきます」


あたしと愛花、そして正面に雪平くんとその友達の山岡くん。

いつものように席に着いたあたしたちは、早速みんなで手を合わせた。


山岡くん──山岡(やまおか) 啓吾(けいご)くんは、雪平くんと同じ剣道部の男の子。

クールな性格で、背なんて161cmのあたしが見上げるくらい。


そんな彼は小さい頃からずっと剣道をやっているみたいで。

制服の上からでもわかるくらい、鍛えあげられた筋肉たちが身を隠せずに主張している。

……好青年タイプの雪平くんとは180度タイプの違う、いわゆる硬派なスポーツ系イケメンってとこね。


「……ん?」

「あっ、ううん、なんでも!」


いっけない、観察してたら目ぇ合っちゃった。

口早に返したあたしはごまかすべく、早速お弁当箱に手をかけた。

すると。


「わぁ、藍原さんのお弁当おいしそう」


パカッと蓋を開けると同時、雪平くんが食い入るようにそれを覗き込んだ。

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