子犬系男子は待てを知らない
「……雪平くん?」
目が合ったのは、少し不機嫌そうな彼。
「そっかぁ、璃子ちゃんの中では俺はまだ可愛いなんだ」
何やら低い声でポツリと零し、
「ちょっと、悲しいな……」
「……っ」
あたしの手首を掴んでから、もう片方の手でクイッと顎を持ち上げてそう言った。
近い距離で見つめられ、言葉が出てこない。
代わりに、心臓の音がこれでもかというくらいに大きく鳴り出す。
それにさっきから視線を感じて、変な汗が吹き出してきた。