子犬系男子は待てを知らない
「ね、ねぇ、みんなに見られてるよ……?」
「うん。それが?」
……そっ、〝それが?〟って!
前々から思ってたけど、ちょっとは自分が目立ってるって自覚してほし──。
「おーい、席に着けー」
ドキドキがピークに差し掛かったその時、急かすような先生の声がした。
そっか、もうHRの時間……!
「じゃあ、また後で」
教卓付近の時計を確認するなり、雪平くんが密やかに言った。
そしてさっきまでとは別人のようなにこにこ笑顔で、ひらりとあたしに手を振ったんだ。