子犬系男子は待てを知らない


***



「起立、礼──」


そんな号令とともに、テスト終了後初めての放課後がやってきた。

掃除も済ませ、あとは帰るだけ。


愛花と山岡くんと……雪平くんと。

みんな揃ってから、靴箱へと向かった。



「ねー、お二人さんは物理の最後の問題解けた?」


少し進んだところで、愛花が問題用紙を広げながら問いかけた。


「んー……一応、解けたかな」

「俺もなんとなくは」

「やっぱりか。アンタら天才?」


へー、あの問題全っ然解き方わかんなかったのに。

すごいなぁ。

そう感心する傍らで、あたしはすこーし考え事をしていた。


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