子犬系男子は待てを知らない


「!」


……わ、すっごく可愛い。

校門をくぐり抜ける途中で、やっと見えたその姿に息を呑んだ。


少し明るめの色をした長いふわふわの髪。

小柄で華奢な身体。

くりっとした色素薄めの大きな瞳が、まるでどこかの清純派女優さんみたいだ。


「……やっと見つけたっ」


え?

桜色に色づいた小さな口が動いたと思った、刹那──。


「会いたかったわ、諒」


……なっ。

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