子犬系男子は待てを知らない


その子は声を弾ませると、雪平くんの首元に腕を伸ばした。


「わっ、ちょっ」


……っ。


「いいの?」

「な、なにが?」


あたしを肘でつつきながら小声で言ってきた愛花にすぐ返した。

いいもなにも……。



「おい」


とその時、混沌とする空気を切り裂くように、山岡くんのいつもより低い声が落とされた。

するとその子は雪平くんから離れ、山岡くんをじぃっと見つめた。

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