子犬系男子は待てを知らない


「……諒のお友達さんですか? 私、桃園(ももぞの) 美織(みおり)と申します」


女のあたしでも見蕩れてしまいそうになるくらいの、柔らかな笑みだった。

どこか惹きつけられる不思議な雰囲気。

やっぱりお嬢様学校に通う人は違う……なんて、思わず感心していると。


ビクッ。


今一瞬、目が合った……ような?


「ねぇ諒? 今から二人でお茶でもしに行かない?」

「あー……ごめん。今日は友達と帰る約束してて」

「……そう。せっかく久しぶりに会えたのに……」


あからさまにしゅん、と伏せられたまつ毛。

隙間から見える瞳は少し潤んで見える。


そんな姿に、同情したのだろうか。

その時あたしはなぜか、こんなことを口走ってしまったんだ。



「せっかくなんだし、行ってきなよ!」

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