恋の微熱に溺れて…
「そうですね。特に忙しかった日なんかは、大きいお風呂にゆっくり浸かりたいですよね」

慧くんの言うことも一理ある。改めて大きいお風呂に浸かるのって大事だなと思わされた。

「それいいね。めちゃくちゃ気持ち分かる」

なかなかお風呂が大きいお家に住むのは大変だが、たまに贅沢をしに温泉へ来るのも悪くないかもしれない。
温泉が二人にとって癒しタイムとなりそうだ。共通の時間を持てることに二人の時間が増える喜びを感じる。

「俺はこうして京香さんと一緒に入れることに意味があるんですけどね」

きっと深い意味はない。純粋な気持ちで伝えてくれたと捉えている。

「本当?そう言ってもらえて嬉しい」

「本当ですよ。こうしてたくさんお喋りできますし」

私も一緒に入ってみて、同じことを思った。
今まで恥ずかしい気持ちばかりが先行し、大事なことを見落としていた。
こうやってお喋りしながら、ゆっくりお湯に浸かるのはとても素敵な時間で。また一緒に入ってもいいかもしれない。こういう時間を過ごせるのであれば…。

「そうだね。お喋りするの楽しい」

裸でお喋りしているせいか、いつもよりもっと本音で話せる。まるで心まで裸にされた気分だ。

「俺も楽しいです。京香さんの声、好きなので…」
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