恋の微熱に溺れて…
「その気持ち、よく分かるよ。美味しいものを食べると、もっとその味を堪能したくなっちゃうよね」

口の中がずっと美味しい味で満たされたらと思うと、とても夢が広がる。
そんな想像をしてしまうほど、美味しいものを口にしてしまうと、人は理性を失ってしまうことが分かった。

「そうなんですよ。欲張っちゃいます」

仕方がないのかもしれないしれない。それは人の性だから。

「仕方ないよ。だって、美味しすぎるのがいけないから」

時に美味しい食べ物は罪になる。人の欲求には逆らえない。食は人間の三代欲求の一つだから。

「ですね。確実に帰ったら太ってると思います」

それは一理ある。そろそろ年齢的に痩せにくい体質になってきているので、少し食べ過ぎるだけでも痩せるのが大変だ。

「そう…だね。あまり考えたくないけど」

今は現実逃避するしかない。未来の自分が少しでも太っていないことを願った。

「とりあえず、一旦このことは忘れて、思いっきり食べましょう」

慧くんの言う通りだ。今は現実的なことはどうでもいい。この場を思いっきり楽しまないと損だ。

「だね。とりあえず、食べられるだけ食べよっか」

後先のことは考えず、二人して夢中になって、目の前にある美味しい食べ物を食べた。
気がついたら、あっという間に目の前の食べ物がなくなっていた。
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