恋の微熱に溺れて…
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旅館の従業員さんが、食べ終わったお料理のお皿を下げてくれた。
私達は楽しみにしていた地酒を飲みながら、ゆっくりした時間を過ごしていた。
ちなみに地酒は美味しい。これはお土産に買って帰りたいくらいだ。
「もうダメかも。少し酔ってきちゃった…」
私はあまりお酒が強くない。寧ろいつもより飲めているぐらいだ。
でも、そろそろ限界は近いみたいだ。もうこれ以上飲んだら、酔い潰れてしまいそうだ。
「そろそろお酒は引き上げましょうか」
慧くんはそう言ってから、グラスに残っているお酒を一気に飲み干した。
そして、グラスをテーブルの上に優しく置き、私の腕を掴んだ。そのまま寝室へと連れて行かれた。
「京香さん…」
熱を帯びた瞳で、私を見つめてくる。その視線から私は目を逸らせない。どんどん熱に浮かされていく。
「いいですか?しても…」
そんなの聞かれなくても、答えは一つしかない。
「いいよ。しよっか」
私がそう言うと、慧くんは私の頬に優しく触れてきた。
優しい手がどんどん下に降りていき、流れるように浴衣を脱がされる。
そのまま唇が重なり、どんどん激しいキスを交わしていく。
「今日は手加減しませんので」
慧くんはわざわざする前に宣言してきた。私は最初からそのつもりでいたので、首を縦に頷いた。
私の首の頷きと同時に、慧くんは行為の続きを再開した。
私は慧くんの手にどんどん溺れていった。気がついたら、深い沼へと落ちていた。