恋の微熱に溺れて…


           *


目覚めたら、次の日の朝を迎えていた。
昨日の夜の慧くんは、激しさはあれど、とても優しく抱いてくれた。
私は慧くんの優しさに愛を感じた。その愛が心地良くて。もっと慧くんに愛されたいと願ってしまった。

「おはよう…」

微睡んでいたら、隣から愛おしい人の声が聞こえてきた。
私はすぐに彼の方に顔を向けた。

「おはよう…慧くん」

起きたての顔を見られるのは恥ずかしいが、恥ずかしさよりも好きな人の顔を見たいという気持ちの方が勝った。

「まだゆっくりしてます?それとも起きて、朝風呂でも入ります?」

どちらも素敵な案なので捨て難いが、ここはせっかくなのでこちらの案を選んだ。

「うーん、そうだな。せっかくだし、朝風呂に入ろっか」

ついでに顔も洗える。できれば少しでも好きな人には綺麗な自分を見せたいと思うのが乙女心だ。たとえ慧くんが気にしないとしても、私が気にする。
そんな乙女心もあるが、せっかくの温泉旅行に来たので、温泉にも入りたい。寧ろ温泉に入るのがメインだ。イチャイチャは二の次である。
それでも抗えない欲望には逆らえないわけだが。朝は自分に打ち勝ち、温泉に入ろうと思う。

「それじゃ、朝は大風呂に入ってみましょうか」

個室の内風呂ではなく、大風呂に入りたいみたいだ。
私も大風呂に入ってみたいと思っていたので、ここはせっかくなので、大風呂に入ることにした。
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