恋の微熱に溺れて…
「いいね。大きいお風呂に入るの楽しみ」

個室の内風呂も家のお風呂と違い、充分な広さがあり、ゆっくりできて快適だった。
でも、大風呂はもっと大きい。大きいお風呂に入るというだけで、ワクワクしてしまう。

「俺も楽しみです。大きいお風呂ってだけで、ワクワクしますよね」

どうして大きいお風呂ってだけで、ワクワクするのだろうか。
理由はない。温泉ってだけでテンションが上がることは間違いなかった。

「だね。それじゃ、準備しよっか」

お互い旅館の大きなお風呂を楽しみに、温泉に行く準備を始めた。
想像だけで今からお風呂に入るのが楽しみだ。ルンルン気分のまま、お風呂へと向かった。


           *


「それじゃ、後で合流しましょう」

さすがに温泉では男女別々なため、ここで一旦、お別れだ。
それぞれで良いお湯を楽しみ、後でお風呂の感想について語ろうと思う。

「だね。また後で」

それぞれ暖簾を潜り、中へと入って行く。
朝ということもあり、数人しかいない。さすがにまだ寝ている人の方が多いみたいだ。
この人数なら、久しぶりの温泉とはいえども、恥ずかしさはあまりない。
というより、慧くんと楽しく温泉に入ったお陰で、恥ずかしいという抵抗感が薄れた。
同性相手に身構えすぎても、逆に挙動不審だ。堂々と身構えているくらいの方がいい。誰も自分の裸なんて気にしていないのだから。
そう思えば思うほど、色々なことが良くなり、私は堂々と服を脱ぎ、お風呂へと向かった。
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