恋の微熱に溺れて…
朝の露天風呂ということもあり、朝陽が綺麗で。綺麗な景色に目も癒された。
ぼーっと綺麗な景色を眺める。何も考えなくてもいいこの時間に、私の心は浄化されていく。
隣で慧くんも同じ景色を見ているのかな。なんてことを思いながら、隣のお湯に浸かっている慧くんに想いを馳せた。
そんなことを思いながら、露天風呂の湯加減に心も身体も癒されたのであった。


           *


逆上せないうちに、私はお風呂を出た。
濡れた身体をタオルで拭き、そのまま服を着た。
着替え終えたので、廊下に出たら、同じタイミングで慧くんが出てきた。
慧くんもこちらに気づいたみたいで。すぐに目が合った。

「…京香さん」

慧くんの方から声をかけてくれた。私はそれだけでドキドキした。

「慧くん。偶然、タイミングが合ったね」

こんな奇跡、滅多にない。
別々に過ごしていたはずなのに、不思議だ。それだけでより彼との運命を感じてしまう。

「ですね。あまりにもピッタリなタイミングだったので、びっくりしちゃいました」

どんなに相性が良い相手でも、ここまで息が合う人はいない。
どうしてこんなにも彼に運命を感じてしまうのだろうか。なんでも運命に感じてしまうのは、まだ彼の熱に溺れてしまっているのかもしれない。

「私もびっくりしちゃった。会えて嬉しい」

素直な気持ちを吐露してしまった。伝えずにはいられないくらい、偶然出会えたことが嬉しかった。
それは慧くんも同じ気持ちだったみたいで。私の言葉を聞いて、一気に表情に現れた。

「俺もです。なんかドキドキしちゃいます。お風呂上がりの京香さん。めちゃくちゃ色っぽいです」

それはこちらの台詞だ。慧くんの方が色っぽい。目が奪われてしまうほどに…。
< 115 / 133 >

この作品をシェア

pagetop