恋の微熱に溺れて…
「…慧くんも色っぽいよ」

言葉にして伝えてみた。慧くんみたいに。

「恥ずかしいですね。いざ言葉にして伝えてもらうと」

いつもと立場が逆転。私が味わっている立場を慧くんが味わっている。それを見て、私は少しだけ優越感に浸っている。

「でも言葉にして、伝えてもらえるのは嬉しいよ。いつもありがとう」

まっすぐに想いを伝えた。確かに言葉にして伝えてもらうのは恥ずかしさもあるが、それ以上に嬉しさの方が強い。
私も少しずつ頑張って、言葉にして伝えてみようと思う。慧くんに喜んでもらえたら嬉しいから。

「そうですね。さっきの嬉しかったです。京香さんに求めてもらえて。男としても。彼氏としても」

熱い視線を向けてきた。私はその熱い視線に、目から欲情した。

「そんな目で見ないでください。風呂に入った意味がなくなるので」

せっかくお風呂に入り、さっぱりしたばかりなので、ここは抑えておくことにした。

「…分かった。気をつける」

朝から妙な気分になってしまった。好きな人の湯上がり姿は破壊力が大きいことを知った。
そんなことを思いながら、すぐに前を向いた。

「部屋に戻ろっか。朝ご飯も楽しみだね」

もう先程のことは忘れた。今は朝食の方が楽しみだ。

「はい。とても楽しみです」

手を繋ぎながら、部屋まで戻った。
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