恋の微熱に溺れて…


           *


お店に着くと、優希が事前に予約してくれていたみたいで。すんなりお店の中へと案内された。
さすが優希だ。こういった細やかな気遣いができるのが、優希の男前度を表している。

「ありがとう。予約してくれて…」

「全然大丈夫だよ。私が行きたいお店だし、前もって予約しておかないと、なかなかすんなりお店の中に入れないから、それで予約しておいたの」

先を見通して、友達を待たせないようにするために、行動してくれるエスコート力。優希は本当にできる女だ。
そんな優希の男前度に、私はまた感動していた。

「そうだったんだ。それも含めて、色々事前に準備してくれてありがとう」

私が逆の立場だったら、気を回して事前に準備することなんてできない。
それをさも当たり前かのようにできる優希がすごい。私も見習いたいところだ。

「そう言ってくれてありがとう。久しぶりに京香に会えるから張り切っちゃった」

優希が男性じゃなくてよかったと思う。もし男性だったら、うっかり惚れていたかもしれない。

「優希は相変わらず、無自覚に人を落とすね」

「ん?そう?だって本音だから」

女友達が男前過ぎると、そこら辺の男の人に恋に落ちにくい。下手な男性より中身がかっこいいから。
でも私には慧くんが居る。だから迂闊に惚れない。寧ろ友達として、慧くんに優希を紹介したいくらいだ。
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