恋の微熱に溺れて…
「それじゃ、お家デートは決定で。…手、繋ぎましょうか」

慧くんが手を差し出してきた。
私はその手を取り、慧くん家に着くまでずっと手を繋いでいた。

「ここが俺ん家です…」

慧くん家の玄関の前まで案内され、私は慧くん家まで来たという実感が湧いた。
そして、慧くんはそのまま玄関の鍵を解錠し、玄関の扉を開けてくれた。

「どうぞ。入ってください」

「お邪魔します…」

慧くん家の中へ入った。初めて男性のお家にお邪魔した。さっきよりドキドキが増した…。

「散らかってますが、男の一人暮らしなんで、大目に見てやってください」

慧くんはそう言っているが、充分部屋は綺麗だ。
寧ろお洒落な部屋で。男性の部屋って、こういう感じなんだな…と思った。

「京香さん、どうかしましたか?」

ボーッと突っ立っていたら、慧くんに心配された。
私は慌てて弁明した。

「えっと…その、男性のお家にお邪魔するのが初めてで。どうしたらいいのか分からなくて」

私がそう言った瞬間、慧くは優しく微笑んだ。

「可愛いですね、京香さん」

そう言った後、慧くは私のおでこにキスをした。
不意打ちのキスに、私はドキドキした。

「あの…、恥ずかしい……」

おでことはいえども、キスに変わりない。
でも私とは対照的に、慧くんは余裕な態度だ。
その様子を見て、こういったことに慣れているんだなと思った。
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