恋の微熱に溺れて…
「京香さん。今日は連れて行きたい所があるんです。俺に付いて来てください」

今日は俺が最初から最後までリードしたい。京香さんを楽しませたい。今日のデートが忘れられないデートになるように。

「うん。いいよ。どこへでも付いていくよ」

京香さんは今日、どこへ行くか知らない。いつも通りのデートを想像しているはず。
これから起こる様々なサプライズにどんな反応を示すのか、今からドキドキしている…。

「そう言ってもらえて嬉しいです。それじゃ早速、俺に付いて来てください」

俺は京香さんの手を取り、歩き始めた。
まずは駐車場へと向かう。その時点でいつもと違うので、京香さんは驚くはず。

「あれ?今日は車なんだね」

熱海旅行以来、京香さんを車に乗せたことはない。普段、殆ど車に乗らないため、久しぶりに車を運転する。
とはいっても、ここ最近はサプライズデートのため、事前に練習のために少しだけ運転していたが。練習の時以外は運転しないため、運転していないに等しい。
そんな状態で車を運転するので、少し緊張している。無事に何事もなく最後まで運転できることを願った。

「はい。今日は車で移動したくて」

別に電車でも構わない場所にあるが、今日は特別な日なので、俺の格好付けのために車で移動したかっただけに過ぎない。
いつか運転にもう少し自信が持てたら、京香さんを乗せて遠出してみたい。
まだ俺にはそんな自信がないため、今は無理せずに自分にできる範囲内でやれることを頑張ろうと思う。
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