恋の微熱に溺れて…
「京香さん。唇にキスしてもいいですか?」

首を縦に頷いた。
すると、慧くんは私にキスをしてきた。優しく触れるだけのキスを。

「やっとこうして、京香さんに触れることができたので、今、めちゃくちゃ嬉しいです…」

そっと抱きしめられた。
その温もりに、私は安心した。

「私も嬉しい…」

「本当ですか?もう一回、キスしてもいいですか?」

私ももう一回、キスしたいと思っていたので、「いいよ」と答えた。
すると慧くんは、再び優しいキスをしてくれた。
私には今、これぐいらいで丁度良かった。

「京香さん、ゆっくりで構わないので、こういったことに慣れてくださいね」

いくら経験がなくても、さすがに知っている。
お付き合いするということは、更にこの先の展開もあるということを…。

「う、うん。頑張る…」

私の反応を見て、慧くんは優しく微笑みながら、こう言った。

「そんなに焦らなくても大丈夫ですよ。今はまだ気長に待っていますので」

慧くんの言葉を聞いて、私は安心した。まだ私の心の準備が整っていないから。
慧くんにはたくさん我慢させてしまうことになるかもしれないけど、今はまだ慧くんの言葉に甘えていたい。

「でも、あまり長くは待てませんので…」

耳元で甘く囁かれた。
低い声で囁かれただけでもドキッとするのに、囁かれた内容が内容なだけあって、ドキッとせずにはいられなかった。
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