恋の微熱に溺れて…

18度:初めてのクリスマス

月日の流れはあっという間で。気がついたらもうすぐクリスマスだ。
慧くんとお付き合いを始めて、初めてのクリスマス。私にとっては恋人と過ごす初めてのクリスマス。
初めてのことがいっぱいで。今からもうドキドキしている…。
今年は運良くクリスマスがお休みだ。二十四日が金曜日で、二十五日が土曜日となっているので、慧くん家でお泊まりする予定だ。
ということはつまり何かあるかもしれない。寧ろ何もない方が悲しい。
そうなるとこっちも事前に念入りの準備が必要だ。主にムダ毛処理や可愛い下着などの準備が…。
慧くんはそんなこと気にしないと思うけど、私が気にする。できれば綺麗な私を見てほしい。
今からクリスマスまでの間に色々準備を開始した。もちろんクリスマスプレゼントもちゃんと用意する。プレゼントも喜んでくれたら嬉しいな。
期待に胸を膨らませながら、クリスマスが訪れるのを待った。


           *


そしてクリスマス当日…。
二十四日の金曜日の本日は社内も街並みも浮かれモードだ。
きっと恋人と過ごす人が多いのであろう。もちろん家族や友達と楽しく過ごす人もいる。
これまでの私のクリスマスの過ごし方は、ケーキとお酒を買って、クリスマス特番を見ながら一人でお酒を飲みつつ、ケーキを食べる…というつまらないクリスマスを過ごしていた。
このままずっとこういったぼっちクリスマスを過ごすものだとばかり思っていた。
それがまさか社内一イケメンの年下彼氏ができるなんて思ってもみなかった。
人生何が起きるかなんて分からない。思いも寄らない幸運が待ち受けていた。
そんなことを考えていたら、仕事中にも関わらずニヤけてしまった。それを見逃さない人がいた。

「おい。クリスマスだからって浮かれるな。気持ちは分からなくもないけどな。まぁ俺もこの後…、いやなんでもない」

如月くんもどうやら恋人と一緒にクリスマスを過ごすみたいだ。
そんな浮かれた如月くんも悪くないなと思った。

「へぇー。そうなんだ。如月くん、彼女できたんだね」

わざと煽ってみた。少しだけ気になった。如月くんの新しい想い人がどんな人なのか…。

「彼女ではない。やることはやってるけど」

つまりそれって…。敢えて言葉にはしないが、如月くんも男なんだなと思った。
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