恋の微熱に溺れて…
「そっか。その子と付き合わないの?」

「正直分かんねー。ずっと拗らせてた長い想いを抱えてたのがやっと終わったばかりで。新しい恋に踏み出したいけど、なかなか前へ進めないというか。でも男だからつい欲に負けちゃって。ぶっちゃけ向こうもどう想ってるのか分かんねー」

こんなに気弱な如月くんはレアだ。なんだか新鮮すぎて、不思議に感じた。

「二人の関係性をはっきり知っているわけじゃないけど、クリスマスを一緒に過ごしてくれる時点で答えははっきり見えてると思うよ。拗らせた想いの分も次の恋愛では発揮しなきゃ。ここで逃げたらまた後悔することにならない?」

きっと如月くんの中ではすぐに次の恋へ向かうということがハードルが高いのであろう。簡単にすぐ次へ向かうことが今までの恋愛を軽視しているみたいで嫌なんだと思う。
それだけ私のことを想ってくれていたということにもなるが。それだけ想ってくれている人に対して、一ミリもその好意に気づかなかった私、どうかしてるけど…。
でもそんな如月くんだからこそ、次の恋に向かってほしい。その恋が報われなくても。報われても。きっと前へ進むことに意味がある。

「葉月の言う通りだな。俺、今日その子に告白してみる。ありがと。葉月のお陰で前に進めそうだわ」

如月くが前を向けるようになって良かった。新しい恋が実ることを願った。

「いえいえ。お役に立ててなにより」

誰かの役に立てるのは素直に嬉しい。それが同僚なら尚更嬉しい。
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