恋の微熱に溺れて…
私は正直、迷っていた。仕事内容的にやりたい気持ちもあるが、羽月くんがこのプロジェクトに参加するかどうかも気になっていた。
もし、参加するのであれば、私も参加したい。彼の様子を窺いながら、立候補しようか迷っていたら、課長が先に口を開いた。

「うちの部署からは、“ダブルハヅキ”に参加してもらおうと思う」

思ってもみないチャンスが訪れた。即座に返事をした。

「畏まりました。代表して、プロジェクトに参加させて頂きたいと思います」

課長は私が快く引き受けてくれたことを喜んでいる。
あとは慧くんがどう思っているのかが気になる。

「僕でよければ、やらせてください。よろしくお願いします」

慧くんもプロジェクトに参加することを表明した。私の心は一気に舞い上がった。

「おう。そうか。それじゃ、よろしく頼むぞ」

新しいプロジェクトに参加できるドキドキと、気になる人と一緒にお仕事ができるドキドキに、私は浮かれていた。


           *


次の日から新しいプロジェクトのチームに参加し、仕事を始めることになった。
急遽、新設されたこともあり、まだ色々とバタバタしている。
皆で協力し合いながら、なんとか落ち着くことができたのが昼過ぎ頃だった…。

「一旦、休憩にしましょうか」

プロジェクトのリーダーの声掛けにより、やっと昼休憩を迎えた。
お昼ご飯を買いに行こうと思い、歩き始めたら、呼び止められた。

「待ってください...!」

後ろを振り返ると、呼び止めた相手は羽月くんだった...。

「羽月くん。どうしたの?何かあった?」

「いえ。そういうわけではないんですが、その...」

言い淀んだ。何か言いづらいことなのだろうと身構えていたら、羽月くんがゆっくり口を開いた。
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