恋の微熱に溺れて…
ここが外じゃなければ、今すぐに始まっていたかもしれない。
焦らされれば焦らされるほど、より期待が膨らむ。

「いいよ。私もたくさん求められて嫌な気はしないし…」

これからイルミネーションを見るというのに、慧くんを煽ってどうするつもりなの?私…。
明日はお休みなので、今夜も求め合うことはできる。
なんて打算的なことを考えてしまう自分がはしたなくて恥ずかしい。

「それじゃ遠慮なく、今夜もたくさん京香さんを抱かせてもらいますね」

たくさん…。今から想像して身体が甘く痺れ、疼く。

「…うん。楽しみにしてる」

繋いでいる手から彼の熱が伝わってきた。彼が今すぐにも私を欲していることが伝わり、更に私の身体は甘く痺れた。
昨夜、あんなにたくさん求め合ったというのに、まだ物足りないなんて。彼の熱を知れば知るほど、彼が更に欲しくなる。
どんどん欲張りになっていく。繋いでいる手さえ彼の温もりを感じることができて嬉しい。
私の頭の中は彼との情事のことで頭がいっぱいで。早く帰って慧くんとたくさん求め合いたい衝動に駆られた。

「そろそろ俺達も入場できそうですね」

気がついたらあっという間に列が進んでいた。
もう自分達の番か…と思うと、気持ちがイルミネーションの方に切り替わった。

「楽しみですね、京香さん」

優しい微笑みをこちらに向けながら、彼は気持ちをまっすぐに伝えてくれた。
先程までの熱い色気のある視線とは違い、清涼感溢れる爽やかな微笑み。
彼の側に居たら何度も拝んでいるとはいえども、その度に心を奪われてしまう。

「うん。楽しみ」

慧くんは無意識にやっているのだと思うが、こういうギャップに女性は弱い。
熱を帯びた雄の彼も悪くないけど、彼らしい爽やかなところも好きだ。
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