恋の微熱に溺れて…
「…京香さん?」

私の突然の予期せぬ行動に、慧くんは驚いたみたいだ。
私は一旦、驚いている慧くんを無視し、リビングに置き忘れた鞄を手に取り、寝室へと戻った。
そして鞄の中からプレゼントを取り出し、慧くんに渡した。

「はい。私から慧くんへクリスマスプレゼントです」

私からプレゼントを受け取った慧くんは、嬉しさと驚きの半々の表情をしていた。

「…ありがとうございます。京香さんからクリスマスプレゼントをもらえて嬉しいです」

まるで子供が朝、クリスマスプレゼントが枕元に置いてあって喜んでいるような純粋さを感じた。

「喜んでもらえるか分からないけど、頑張ってプレゼントを選びました」

男の人にプレゼントなんて渡したことがないので、何をあげたらいいのか分からなかった。
それでも色々試行錯誤しながら、自分なりに慧くんへのプレゼントを選んだ。

「開けてみてもいいですか?」

もう慧くんの手に渡ったので、慧くんの好きにしてもらって構わない。

「いいよ。開けてみてください」

「それでは開けさせてもらいますね…」

彼はゆっくり包装を解いた。プレゼントを袋の中から取り出した。

「わぁ…。素敵なプレゼントをありがとうございます」

ちなみに慧くんへプレゼントした物は、ブランド物のマフラーとネクタイピンとキーケースにした。

「いえいえ。気に入ってもらえてよかったです」

無事にクリスマスプレゼントの交換は済んだ。あとはゆっくり過ごすのみだ。

「さて、今日はゆっくり過ごしましょうか」

明日からまた一週間仕事という現実が待っているが、それを乗り越えたら年末年始の休暇に入るので、今週は気持ちが少し楽だ。

「そうだね。明日からの仕事に備えて」

「ですね。明日から仕事を頑張らないと…」

初めて恋人と過ごすクリスマスはとても楽しくて。良い思い出になった。
来年も慧くんと一緒に過ごせるといいな。まずは仕事を乗り切って、大晦日とお正月を楽しみに日々を頑張ることにした。
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