恋の微熱に溺れて…
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お昼寝から目を覚ますと、もうすっかり外は真っ暗で。夕方になっていた。
慧くんはまだ気持ち良さそうに眠っている。相当日頃の疲れが溜まっていたみたいだ。
かわいそうなのでまだ寝かせてあげたいが、さすがに時間も時間なので、起こすことにした。
「慧くん、おはよう。起きて…」
優しく身体を揺すると、まだ寝ぼけながらも目を覚ました。
「おはようございます。…あれ?もう外が真っ暗ですね…」
目を覚まし、自分達がどれだけ眠っていたのか気づいたみたいだ。
「実は私もさっき起きたばかりなの。びっくりしたよ。目を覚ましたら外が真っ暗だったから…」
まさかこんなに長く寝てしまうなんて思わなかった。
仮に起きていたとしても、特にやることはなかったので、これだけ長く寝てしまったことはそこまで問題ではない。
それに寧ろ今からが本番だ。だって今日は年内最後の日だから。日付が変わるまでのカウントダウンがある。
「確かにびっくりしましたね。でもその分、夜は長く起きてられますね」
変な意味で言っているんじゃないと思う。今日はカウントダウンがあるから、遅くまで起きていられる方がいい。ただそれだけだ。
「そうだね。今日はカウントダウンがあるから楽しみ」
慧くんとお付き合いするまでのここ数年は、一人で寂しくカウントダウン番組を見ながら過ごしていた。
友達とは連絡であけましておめでとうと、日付を越えたタイミングでやり取りするのみで。殆ど寝正月を過ごしていた。
だからこそ、より恋人と過ごすのが初めてなので、とても楽しみである。