恋の微熱に溺れて…
「俺も楽しみです。一緒に年を越せるんですから」

どんな時でも好きな人と一緒に時を過ごせるだけで幸せだ。それ以上幸せなことはない。

「まだまだ時間はあるけど、今から楽しみでソワソワしちゃう…」

楽しみ過ぎるが故に落ち着かなくなっている。落ち着かせたいけど、これは無理だ。
きっと時間が訪れるまでこのソワソワ感は消えないであろう。それすらも楽しみである。

「その気持ち、分かります。俺もさっきから落ち着かないです」

慧くんに腕を掴まれ、そのまま慧くんの心臓に手が触れた。
慧くんの心臓はバクバクしていて。彼の心臓の音を聞いて、彼も同じなのだと知って嬉しかった。

「慧くんもそうなんだね。なんだか落ち着かないね…」

今こそ早くお酒が飲みたい。その方が落ち着けそうだ。

「ですね。…そうだ。京香さん、先にお風呂に入りませんか?」

慧くんもこの空気に耐えられなかったのか、お風呂を提案してきた。
今、この場の空気を変えるためにもお風呂に入るのはいいかもしれない。
それに温かいお湯に浸かれば、少し気持ちが落ち着くかもしれない。

「そ、そうだね。そうしようかな…」

「それじゃお風呂のお湯を張りに行っておきますね」

慧くんはリビングから一旦離れて、お風呂場へと向かった。
お風呂にお湯を張りに行ってくるだけなので、すぐに戻ってきた。

「お湯を張り終えたら機械がお知らせしてくれますので、それまでゆっくりするなりして待っててください」

うちのお風呂も同じで。お湯張りが終われば機械が知らせてくれる。
自分でお湯を止めなくてもいいので、本当に便利だ。その間に他に違うことができる。

「分かった。そしたら先に着替えの準備と、メイクを落として待ってるよ」

時間は有効活用した方がいい。その方が時間が短縮できるから。

「分かりました。俺はその間に夕飯の準備とか、色々やっておきますね」
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