恋の微熱に溺れて…
本当は一緒に慧くんと夕飯の支度をするべきなのかもしれないが、今は少しでもお互いにそれぞれの時間を有効活用するのが得策と判断した。
なので、私も気にせずにお風呂の準備を始めた。一旦、寝室へと向かい、着替えを手に取った。
そしてその足で脱衣所へと向かい、着替えと一緒に持ってきたお泊まりセットの中にメイク落としがあるので、メイク落としでメイクを落としていく。
慧くんの前ではもう何回かすっぴんは見せてきた。それでもまだすっぴんを見られるのは恥ずかしい。
メイクをしているのとしていないのとでは、女性として気持ちが違う。裸を見られるのと同じくらい恥ずかしい。
でも彼の前だからこそ、曝け出すことができる。自分の本当の姿を知ってもらうのも恋人という関係性で必要なことだから。
丁寧にメイクを落としていく。汚れが一つもないように。落とし残しがあると、それが肌荒れの原因に繋がる。
少しでも綺麗な肌を保つために必要なことなので怠らない。彼にいつまでも綺麗だと思ってもらうために。
丁寧にメイクを落とし、そのまま洗顔をした。するとお湯が沸いたというお知らせが鳴った。

「慧くん、お湯が沸いたみたいだから入るね」

わざわざ言うほどのことではないかもしれないが、一応伝えた。

「分かりました。ゆっくり温まるまで入ってくださいね」

そう言われたので、少しゆっくり浸かることにした。とはいえでも常識の範囲内で。
長風呂は次の人を待たせてしまうので程々に…。だからといってあまり短すぎても身体が温まらないので元も子もない。
逆にその方が慧くんが気を遣いそうなので、慧くんが気を遣わない範囲内で入らせてもらうことにした。
着てきた服や下着を脱ぎ、何も身に纏わない状態になる。そのままお風呂の扉を開け、中へと進む。
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